外洋航路の貨物船に乗って

2月中旬から約半年間、長さ299.9m、幅50m、20万総トンのばら積み貨物船に乗船しています。この船は、オーストラリアから石炭や鉄鉱石を搭載して日本へ運び、
製鉄工場で荷揚げする船です。船員は、船長、機関長を含めて20名すべてフィリピン人です。みんなフレンドリーで陽気な仲間たちです。船は日本とオーストラリアとの距離、約3400海里(約6300km)を2週間ほどかけて航海しますが、岸壁の空き状態によっては、空くまで待機することがあります。オーストラリアの場合は沖合で投錨して、日本の場合は四国や房総半島沖で漂泊待機となります。船長の話では、2カ月間待機したこともあると言ってました。船員たちは、航海中も停泊中も決まった時間に仕事をしていますが、休憩時間にはバスケットボールや軽い運動、カラオケやギターなどの音楽、ビリヤードに似たゲームやトランプ、釣りなどで時間を潰しています。彼らは、停泊中もほとんど船内で過ごしています。特に日本では物価が高いことがその理由のようです。彼らは約9か月の契約で乗船しますので、この間ほとんど陸地を踏まない訳です。契約が終了すると帰国して待機となりますが、その期間は無収入とのこと。乗っている間に極力使わずに貯め込むとの考えもあるようです。長い航海で家族とも離れ離れですが、フィリピンの一般的収入に比べて格段に高収入を得る船乗りは人気の職業だそうで、外交航路の船の多くにフィリピン人の船員が乗っています。
 日本人の私でもフィリピン人とは直ぐに仲良くなれます。だけど一緒にゲームを行うほどのコミュニケーション力もないので、暇を持て余すことが多いんですが、それでも日出、日没時や星座の観測は十分楽しめました。
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日没
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雲間の光
写真は、日没、日出時のものですが、オーストラリアに近づくほど空気が乾燥してはっきりと見ることができます。日本に近づくと湿度が高まって雲や霞で水平線が見えなくなることが多いのです。
そして、写真にとることができなくて残念ですが、なんと言っても満天の星空は言葉では言い尽くせません。南に向かう時に段々と高度を上げていく南十字星や東の空に見えるさそり座、西の空の3つ星のオリオン座や冬の第三角形、北上するときに北斗七星の西に見えるふたご座(ふたご座は自分の星座ですが、今までこれがふたご座とはっきり認識することはできていませんでした。)日本にいると天の川って本当にあるの?というくらい見ることができませんが、洋上では星座盤以上の余りに多くの星が見えすぎて星座の判別が難しいほどです。流れ星も数分間で複数回見ることができることもあります。
今回、観察するにあたってSTAR WALK2というアプリを使いましたが、これはオフライン時も使える優れものでした。
 まもなく乗船期間も終了します。間もなく出港していく場所は中国なので、今度の航海で星空観測はあまり期待できません。またいつかあの星空を見てみたいものです。